自己都合で退職した後の生活に不安を感じている方は多いでしょう。
「失業保険はもらえるのか」「いつからもらえるのか」といった疑問をお持ちの方も少なくありません。
特に2025年4月から制度が変わり、給付制限期間が短縮されるなど重要な変更点があります。
本記事では、自己都合退職後の失業保険(正式には雇用保険の基本手当)について、最新の受給条件や手続き方法、注意点を詳しく解説します。
これから退職を考えている方も、すでに退職された方も、失業保険の仕組みを正確に理解して、スムーズに次のステップに進むための参考にしてください。
自己都合退職後の失業保険制度の基本
まず、自己都合退職後にどのような条件で失業保険が受給できるのか、基本的な制度について解説します。
失業保険の正式名称や対象者、給付までの期間など、基本的な知識を押さえておきましょう。
これらを理解することで、退職後のスケジュールも立てやすくなります。
失業保険の正しい名称と対象者
一般的に「失業保険」と呼ばれていますが、正式名称は「雇用保険の基本手当」です。
この制度は、失業した方が再就職活動をする間の生活を支えるための給付金制度です。
自己都合で退職した場合でも、一定の条件を満たせば受給することができます。
対象となるのは、離職前に雇用保険に加入していた会社員、パートタイマー、契約社員などの労働者です。
雇用保険の加入義務がある事業所で、週20時間以上働いていた方は原則として雇用保険に加入しています。
自営業者やフリーランスは通常、雇用保険の対象外となるため注意が必要です。
- 正社員、パート、アルバイト、契約社員など雇用形態は問わない
- 週20時間以上働いていた
- 31日以上の雇用見込みがあった
自己都合退職時の給付制限と待機期間
自己都合退職の場合、「待機期間」と「給付制限期間」があります。
待機期間は、ハローワークに求職申込をした日から数えて7日間です。
この7日間は誰でも必ず設けられる期間で、会社都合の退職でも同じです。
さらに自己都合退職の場合は、待機期間満了後に「給付制限期間」が設けられます。
2025年4月以降は、この給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮されます(厚生労働省公式サイト、2024年5月9日確認)。
つまり、2025年4月以降は、求職申込日から数えて最短で約1.5ヶ月(7日間+1ヶ月)で給付が開始される計算になります。
2025年3月まで | 2025年4月以降 | |
---|---|---|
待機期間 | 7日間 | 7日間 |
給付制限期間 | 2ヶ月 | 1ヶ月 |
受給開始までの最短期間 | 約2.5ヶ月 | 約1.5ヶ月 |
受給資格と必要な被保険者期間
失業保険を受給するためには、一定の「被保険者期間」が必要です。
被保険者期間とは、雇用保険に加入していた期間のことです。
受給資格を得るためには「離職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること」が条件となります(厚生労働省、2024年)。
この「12ヶ月以上」というのは、実際に働いた月数で計算されます。
具体的には、月の初日から末日まで全て働いた月、または月の途中から働き始めても11日以上働いた月を「1ヶ月」としてカウントします。
11日未満しか働いていない月は、被保険者期間としてカウントされないので注意が必要です。
- 離職日以前の2年間で
- 雇用保険加入期間が通算12ヶ月以上あること
- 各月11日以上の就労がある月を「1ヶ月」としてカウント
ただし、特定受給資格者(会社都合の退職など)や特定理由離職者(転居、妊娠・出産・育児等の理由による退職など)の場合は、離職日以前の1年間に被保険者期間が6ヶ月以上あれば受給資格が得られます。
これは自己都合退職より条件が緩和されている点です。
転職情報に関する記事はこちら
2025年4月施行の失業保険制度改正ポイント
2025年4月から失業保険制度が一部改正され、自己都合退職者にとって重要な変更点があります。
特に給付制限期間の短縮は大きな変更点です。
最新の制度を理解して、退職のタイミングや退職後の生活設計に役立てましょう。
給付制限期間の短縮(2ヶ月→1ヶ月)
2025年4月施行の雇用保険法改正で最も注目すべき点は、自己都合退職者の給付制限期間が「2ヶ月」から「1ヶ月」に短縮されることです。
これは厚生労働省が公式に発表した内容で、改正後は待機期間7日間の後、1ヶ月経過すれば基本手当の支給が開始されます(厚生労働省公式サイト、2024年)。
この変更により、自己都合退職者は従来より約1ヶ月早く失業保険を受け取れるようになります。
この制度変更は、働き方改革の一環として、円滑な労働移動を促進する目的で実施されます。
労働市場の流動性を高め、より適した職場への移動を容易にするという意図があります。
退職のタイミングを検討している方にとっては、2025年4月以降の退職を選択する一つの判断材料になるでしょう。
- 給付制限期間:2ヶ月→1ヶ月に短縮
- 施行日:2025年4月1日
- 待機期間(7日間)は変更なし
給付日数と基本手当の計算方法
失業保険の給付日数は、年齢や被保険者であった期間、離職理由によって異なります。
自己都合退職の場合、一般的な給付日数は以下のとおりです(厚生労働省公式サイト、2024年)。
この給付日数は2025年4月の制度改正後も変更はありません。
基本手当の日額は、離職前の賃金を基に計算されます。
具体的には、離職前6ヶ月の賃金の合計を180で割った金額の50〜80%(年齢により異なる)が基本手当の日額となります。
年齢が高いほど、また賃金が低いほど、給付率は高くなる仕組みです。
被保険者期間 | 給付日数(一般) | |
---|---|---|
30歳未満 | 10年未満 | 90日 |
30歳未満 | 10年以上 | 120日 |
30歳以上35歳未満 | 10年未満 | 90日 |
30歳以上35歳未満 | 10年以上 | 150日 |
また、前職の退職理由が「自己都合」か「会社都合」かによっても給付日数が異なります。
会社都合の場合は、自己都合よりも給付日数が長く設定されています。
ただし、特定の条件に該当する場合は、自己都合退職でも給付制限の緩和措置が適用されることがあります。
特定理由による給付制限の緩和措置
自己都合退職でも、特定の理由がある場合には「特定受給資格者」または「特定理由離職者」として扱われ、給付制限期間がなくなったり、受給要件が緩和されたりすることがあります。
これらに該当すると、待機期間(7日間)のみで基本手当の支給が開始されます。
2025年4月の制度改正後も、この特例措置の基本的な考え方に変更はありません。
特定理由離職者に該当する主な理由としては、以下のようなものがあります(厚生労働省公式サイト、2024年)。
これらの理由で退職した場合は、ハローワークに申し出て、必要な証明書類を提出することが重要です。
通常の自己都合退職と申告すると、特例が適用されず、1ヶ月の給付制限がかかってしまうので注意しましょう。
- 本人または配偶者の転勤に伴う転居による退職
- 妊娠、出産、育児などによる退職
- 介護のための退職
- 病気やケガによる退職(ただし、医師の診断書など証明が必要)
- セクハラ・パワハラなど職場環境に起因する退職(証明が必要)
自己都合で退職した場合の失業保険受給手続き
自己都合退職後、失業保険を受給するための手続きについて詳しく解説します。
適切な手順を踏むことで、スムーズに受給が開始できます。
必要書類や手続きの流れを事前に把握しておきましょう。
離職〜ハローワーク申請までの流れ
失業保険を受給するための最初のステップは、会社から「離職票」を受け取ることです。
離職票は通常、退職から10日以内に会社から交付されます。
すぐに交付されない場合は、会社に問い合わせましょう。
離職票を受け取ったら、住所地を管轄するハローワークに出向き、求職申込みと失業認定申請を行います。
この時点で「求職申込日」が設定され、ここから7日間の待機期間がスタートします。
離職票がなかなか届かない場合でも、先に求職申込だけを行うことも可能です。
ただし、その場合は後日改めて離職票を持参する必要があります。
- 退職する(離職日確定)
- 会社から離職票を受け取る(通常10日以内)
- 住所地のハローワークで求職申込と失業認定申請を行う
- 7日間の待機期間を経る
- 自己都合の場合、1ヶ月の給付制限期間(2025年4月以降)
- 初回認定日に失業認定を受ける
- 7日後頃に初回の基本手当が振り込まれる
必要書類と失業認定の条件
ハローワークでの手続きには、以下の書類が必要です。
これらを事前に準備しておくと、スムーズに手続きを進めることができます。
特に本人確認書類や銀行口座の情報は必ず必要になるので、忘れずに持参しましょう。
失業認定を受けるためには、単に失業しているだけでなく「就職する意思」と「積極的に求職活動を行っている」ことが条件となります。
定期的な認定日(通常4週間に1回)に、この間の求職活動実績を報告し、認定を受ける必要があります。
ハローワークは申請内容を審査し、条件を満たしていると判断すれば、その後7日程度で指定口座に基本手当が振り込まれます。
- 離職票-1、離職票-2(会社から発行される)
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
- 顔写真2枚(正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)
- 銀行口座の通帳またはキャッシュカード
- 印鑑(認印可)
求職活動実績の要件と報告方法
失業保険を継続して受給するには、原則として4週間に2回以上の求職活動を行い、その実績を認定日にハローワークに報告する必要があります。
求職活動として認められる主な行為は以下の通りです。
これらの活動を「求職活動実績証明書」に記入して提出します。
2023年1月からは、オンラインでの認定申請(電子申請)も可能になりました。
マイナンバーカードと専用のアプリを使用することで、ハローワークに出向かなくても失業認定を受けられるようになっています。
ただし、初回の手続きや雇用保険説明会への参加は原則として対面で行う必要があるため、注意が必要です。
- ハローワークが紹介した求人への応募
- ハローワーク以外の職業紹介事業者(民間の人材紹介会社など)への求職申込み
- 求人者への直接の応募(企業のウェブサイトからの応募も含む)
- ハローワークや地方公共団体等が実施する職業相談
- 職業訓練や講習会への参加
- 公的機関が行う資格試験の受験
失業保険受給の注意点と例外ケース
自己都合退職による失業保険の受給にはいくつかの注意点があります。
また、特殊なケースではどのような扱いになるのかを知っておくことも重要です。
ここでは、再三の自己都合退職や受給できないケース、よくある質問などを解説します。
再三の自己都合退職の場合の特例
短期間に複数回の自己都合退職を繰り返す場合、通常よりも長い給付制限が適用されることがあります。
具体的には、「過去5年間に2回以上、正当な理由のない自己都合退職があった」場合、通常の給付制限期間(2025年4月以降は1ヶ月)に加えて、最大で2ヶ月の追加給付制限が課せられる可能性があります(厚生労働省、2024年)。
これは、失業保険の本来の趣旨から外れた利用を防ぐための措置です。
また、離職の際に会社側から「重大な帰責事由」があったとされる場合(懲戒解雇相当など)も、3ヶ月の給付制限が課せられることがあります。
これは、2025年4月の制度改正後も変更される予定はありません。
このような長期間の給付制限を避けるためには、安易な転職の繰り返しは控え、職場での問題があれば適切に対処することが重要です。
- 過去5年間に2回以上の自己都合退職:最大3ヶ月の給付制限
- 懲戒解雇相当の重責解雇:3ヶ月の給付制限
- 会社都合や特定理由による退職:給付制限なし
受給できないケースと延長措置
失業保険を受給できない主なケースとしては、被保険者期間が足りない場合(離職前2年間で12ヶ月未満)や、前回の受給から1年以内に再度失業した場合などがあります。
また、病気やケガなどで就労能力がなく求職活動ができない場合も、原則として受給できません。
ただし、病気やケガの場合は、「受給期間延長」の手続きを行うことで、回復後に受給できる可能性があります。
受給期間の原則は、離職日の翌日から1年間です。
この期間内に所定の給付日数分を受け取る必要があります。
しかし、妊娠・出産・育児・病気などの理由で求職活動ができない場合は、最大3年まで受給期間を延長できる制度があります(厚生労働省、2024年)。
この延長手続きは、原則として退職後30日以内に行う必要があるので注意しましょう。
- 被保険者期間が離職前2年間で12ヶ月未満
- 定年など65歳以降の離職(一部例外あり)
- 退職後に自営業を始めた場合(一部例外あり)
- 病気やケガで就労不能の場合(ただし受給期間延長申請可能)
- 受給期間(原則1年間)を過ぎた場合
よくある質問と回答
自己都合退職と失業保険に関して、多くの方が持つ疑問に答えます。
実際の状況に応じた対応方法を知ることで、スムーズに手続きを進めることができるでしょう。
不明点があれば、最寄りのハローワークに相談することも大切です。
- 再就職先が決まっている場合でも失業保険は受給できますか?
-
基本的には受給可能です。ただし、再就職先の入社日までの期間が給付対象となります。再就職が決まった場合はハローワークに報告し、「再就職手当」の申請も検討しましょう。再就職手当は、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある場合に、基本手当の残りの日数の50〜60%が一時金として支給される制度です(厚生労働省、2024年)。
- 失業保険を受給しながらアルバイトはできますか?
-
可能ですが、収入に応じて失業保険の支給額が減額または停止されます。収入が月額8万円以下(2024年度基準)であれば、基本手当は全額支給されますが、それを超えると減額され、月の収入が基本手当の月額相当額と8万円の合計を超えると支給停止となります。アルバイトを始める場合は、必ずハローワークに申告してください。
- 失業保険の受給中に傷病手当金はもらえますか?
-
基本的には、失業保険と傷病手当金は同時に受給できません。病気やケガで働けなくなった場合は、「傷病手当」(失業保険の一種)を申請するか、受給期間延長の手続きを行い、回復後に失業保険を受給する方法があります。詳しくはハローワークに相談してください。
- 2025年4月の制度改正は、すでに失業給付を受けている人にも適用されますか?
-
原則として、2025年4月1日以降に離職した方から新制度が適用されます。すでに旧制度で受給中の方は、原則として従来の2ヶ月間の給付制限期間が適用されます。詳細については公式発表を確認するか、ハローワークにお問い合わせください。
建築業の転職ならAIPPEAR JOB(アイピアジョブ)

AIPPEAR JOB(アイピアジョブ)は、
建築業界に特化した転職支援サービスです。
無料オンライン相談や企業とのマッチングを通じて、建築業の転職活動を行えます。
従来の求人サイトとは異なり、スタッフのサポートのもと、スキルや経験、希望条件から精度の高いマッチングを行うため、効率的な転職活動が可能です。
アイピアジョブの6つの特長
- 築業界に特化した優良求人で、
労働環境の整ったホワイト企業に出会える - 安心の1on1サポートで最適な企業との
出会いを実現 - 無料オンライン相談で
転職の希望や悩みを丁寧にヒアリング - 求職者の「働く価値観」にマッチした職場をご紹介
- 求人検索や企業との面接の日程調整など、
転職活動に必要な手続きを代行 - エージェントとの連絡は全てLINEで完結
まとめ
自己都合退職後でも、一定の条件を満たせば失業保険を受給することができます。
2025年4月からは給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮され、より早く給付が開始されるようになります。
受給するためには、離職前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があること、積極的に求職活動を行うことなどが条件です。
また、病気や介護などの特定理由による退職の場合は、給付制限が緩和される可能性もあります。
手続きの流れとしては、離職票を受け取り、ハローワークで求職申込と失業認定申請を行い、待機期間と給付制限期間を経て支給が開始されます。
定期的な認定日には求職活動実績を報告し、認定を受ける必要があります。
失業保険は、次の就職先を見つけるまでの生活を支える大切な制度です。
本記事の情報を参考に、適切な手続きを行い、スムーズに次のキャリアステップに進むための準備をしてください。
不明点があれば、お近くのハローワークに相談することをおすすめします。