転職活動や就職活動において、職務経歴書は自分のキャリアをアピールする重要なツールです。
特に「職務要約」や「職務概要」は、採用担当者が最初に目を通す部分であり、あなたのキャリアの全体像を短時間で伝える役割を担っています。
しかし、多くの求職者は職務要約の書き方に悩み、効果的にアピールできていないケースが少なくありません。
本記事では、職務経歴書における職務要約・職務概要の意味や役割から、効果的な書き方のポイント、業界別の具体例まで詳しく解説します。
転職市場で競争力のある職務経歴書を作成するためのノウハウを身につけ、あなたのキャリアを最大限にアピールしましょう。
この記事を参考に、採用担当者の心に残る印象的な職務要約を作成するためのスキルを磨いていただければ幸いです。
職務経歴書の職務要約とは
職務経歴書は転職活動において、あなたのキャリアを採用担当者に伝える重要な書類です。
その中でも「職務要約」または「職務概要」と呼ばれる部分は、あなたのキャリア全体を簡潔にまとめた部分であり、採用担当者がまず最初に目を通す重要な項目です。
職務要約を効果的に作成することで、あなたの強みや実績を短時間で印象づけることができます。
職務要約の基本的な役割と目的
職務要約は、あなたの職務経験や実績、スキルを凝縮して伝える役割を持っています。
採用担当者は多くの応募書類に目を通すため、一人あたりの書類確認時間は限られています。
そのため、最初の30秒で読み手の興味を引くことが重要なのです。
職務要約の主な目的は以下の3つです。
まず、あなたのキャリアの全体像を端的に伝えること。
次に、応募ポジションに関連する専門性や強みをアピールすること。
そして、なぜあなたがその職種や会社に適しているかを示唆することです。
一般的に職務要約は200〜300字程度で記載し、職務経歴書の冒頭に配置します。
この限られたスペースで最大限のインパクトを与えるためには、キャリアのハイライトを厳選し、具体的かつ簡潔に表現することが求められるのです。
職務要約と職務経歴の違い
職務要約と職務経歴は混同されがちですが、その役割は明確に異なります。
職務要約はキャリア全体を俯瞰的に捉え、核となる実績やスキルを凝縮して伝えるものです。
一方、職務経歴は時系列で各職場での具体的な業務内容や責任範囲を詳細に記述します。
職務要約は「要点」を伝えるためのもので、読み手に「この人のどこが優れているのか」を短時間で理解させることが目的です。
職務経歴はその裏付けとなる「詳細」を提供し、職務要約で触れた実績や能力の具体例を示す役割を担っています。
たとえば、営業職であれば職務要約では「10年間の法人営業経験で累計売上5億円を達成。新規開拓から既存顧客管理まで一貫した営業プロセスを構築」といった形でハイライトを伝え、職務経歴では各社での具体的な担当業種や業務範囲、達成した数値目標などを詳細に記述するという違いがあります。
効果的な職務要約が採用担当者に与える印象
優れた職務要約は、採用担当者に好印象を与え、あなたの応募書類が選考を通過する可能性を高めます。
人事担当者へのアンケート調査によると、採用担当者の約80%が「職務経歴書を見る際に職務要約を最初に確認する」と回答しています。
つまり、この部分が採用担当者の第一印象を決定づけるのです。
効果的な職務要約は、採用担当者に「この人なら私たちの課題を解決できそうだ」という期待感を抱かせます。
求人に関連するキーワードを適切に盛り込むことで、採用担当者の求める人材像との一致点を示すことができるでしょう。
また、具体的な数字や成果を示すことで、あなたのパフォーマンスを客観的に評価できる材料を提供します。
「売上を向上させた」ではなく「前年比120%の売上向上を達成」というように具体的に記述することで、採用担当者はあなたの実力を具体的にイメージすることができるのです。
職務要約・職務概要の書き方のポイント
職務要約は単なるキャリアの羅列ではなく、採用担当者の目を引き、あなたの価値を短時間で伝えるための戦略的な項目です。
効果的な職務要約を作成するためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
ここでは、印象に残る職務要約を書くための具体的なテクニックと注意点を解説します。

自己PRとの違いを理解する
職務要約と自己PRは似ているようで異なる目的を持っています。
職務要約は主にこれまでの職務経験や実績、スキルなど「事実」を中心に構成します。
一方、自己PRは自分の人柄や価値観、姿勢など「人間性」に焦点を当てる傾向があります。
職務要約では「〜の業界で〜年の経験があり、〜という実績を上げてきました」といった客観的な事実を中心に記述します。
自己PRでは「常に向上心を持って業務に取り組み、チームの目標達成に貢献してきました」といった主観的な内容も含みます。
職務要約を書く際は、自己PRとの境界線を意識しましょう。
「私は〜が得意です」「〜を心がけています」といった主観的な表現よりも、「〜の経験があります」「〜を達成しました」といった客観的な実績を中心に構成することで、説得力のある職務要約になります。
具体的な数字やデータを活用する
職務要約において、具体的な数字やデータを盛り込むことは非常に効果的です。
「売上向上に貢献」と書くよりも「売上30%向上に貢献」と書く方が、あなたの実績がより明確に伝わります。
数字は客観性と信頼性を高め、あなたの貢献度を具体的に示す強力なツールです。
効果的に活用できる数値データには以下のようなものがあります。
- 売上や利益の増加率
- コスト削減の割合や金額
- プロジェクト完了数
- 顧客満足度のスコア
- チームのサイズや管理していた予算規模
- 市場シェアの拡大率
ただし、企業の機密情報に触れる数字は避け、一般的に開示可能な範囲内にとどめることが重要です。
また、あまりにも細かい数字よりも、インパクトのある丸めた数字の方が記憶に残りやすいでしょう。
たとえば、「23.7%の向上」よりも「約25%の向上」というシンプルな表現の方が印象に残ります。
業界・職種別の効果的なアピールポイント
職務要約は業界や職種によって重視すべきポイントが異なります。
応募先の業界特性を理解し、その業界で評価される実績やスキルを強調することで、より効果的なアピールができます。
以下に主な業界・職種別のアピールポイントを紹介します。
営業職の場合は、売上達成率や顧客獲得数などの数値実績が重要です。
「前年比120%の売上達成」「新規顧客50社の開拓に成功」といった具体的な成果を示しましょう。
また、担当した業界や商材、営業手法(ルート営業・新規開拓・ソリューション営業など)も明記すると良いでしょう。
IT・エンジニア職では、技術スキルと実務経験が重視されます。
「Java、Python、AWSを用いた基幹システム開発」「アジャイル開発による5つのプロジェクトマネジメント経験」など、具体的な技術スタックとプロジェクト経験を簡潔にまとめることが効果的です。
開発規模や品質向上、コスト削減などの成果も数値で示せるとなお良いでしょう。
履歴書の書き方に関する記事はこちら
職務経歴書の職務要約の具体例
職務要約の書き方を理解するには、具体例を参考にすることが効果的です。
ここでは、経験年数や職種、転職理由などの異なるシチュエーションに応じた職務要約のサンプルを紹介します。
自分の状況に近い例を参考にしながら、オリジナルの職務要約を作成してみましょう。
経験年数別の職務要約例
キャリアの段階によって職務要約のアピールポイントは変わります。
新卒や若手社員、中堅社員、ベテラン社員それぞれの特性を活かした職務要約の書き方を見ていきましょう。
経験年数に合わせた適切なアピールが採用担当者の共感を得るポイントです。
若手営業職の職務要約例
「飲食業界向け業務用機器の法人営業として3年間従事。新規開拓を主担当とし、年間30社の新規顧客獲得に貢献。基本的な商談スキルとCRM活用による顧客管理能力を習得。商品知識を深めるため社内勉強会を主導し、2年目には新人教育係も担当。」
中堅ITエンジニアの職務要約例
「金融系システム開発に7年間従事。Java、Spring Frameworkを用いたバックエンド開発を専門とし、決済システムや顧客管理システムなど計5つのプロジェクトに参画。うち2つではリードエンジニアとして3〜5名のチームをマネジメント。レスポンス速度を従来比50%向上させるパフォーマンスチューニングを実施し、顧客満足度向上に貢献。」
ベテラン管理職の職務要約例
「製造業界で15年、うち7年は生産管理部門の管理職として従事。最大50名のチームマネジメントと年間5億円規模の予算管理を担当。生産効率化プロジェクトを主導し、3工場の生産性を平均15%向上。原価管理システムの刷新により年間1億円のコスト削減を実現。業界団体の委員も務め、製造業の品質基準策定にも参画。」
職種別の職務要約サンプル
職種によって求められるスキルや実績が大きく異なるため、職務要約の書き方も変わってきます。
ここでは主要な職種別に効果的な職務要約のサンプルを紹介します。
自分の職種に近い例を参考にしながら、業界特有のキーワードや実績を盛り込みましょう。
営業職の職務要約例
「BtoB向け広告営業として8年の経験。デジタルマーケティングソリューションを中心に、年間目標達成率平均120%の実績。新規開拓から既存顧客の育成まで一貫した営業プロセスを構築。顧客の業種は製造業・小売業・サービス業と多岐にわたり、特に製造業向けマーケティング戦略に強み。最大2億円規模の案件を獲得し、MVP賞を2度受賞。」
マーケティング職の職務要約例
「消費財メーカーでブランドマーケティングを6年経験。SNSマーケティングを主導し、フォロワー数を3年で10万から50万に拡大。デジタル広告とリアルイベントを組み合わせたクロスメディアキャンペーンを企画・実行し、新商品の市場シェアを5%から15%へ拡大。データ分析に基づく顧客セグメント戦略を導入し、ターゲット層の購買率を25%向上させた実績あり。」
人事・総務職の職務要約例
「人事部門で10年の経験を持ち、採用・教育・評価制度の設計・運用を担当。年間100名規模の採用活動をリードし、入社3年以内の離職率を15%から5%に低減。タレントマネジメントシステムを導入し、評価プロセスの工数を30%削減。働き方改革プロジェクトを推進し、社員満足度調査で前年比15ポイント向上の成果。社内コミュニケーション活性化施策も実施。」
転職理由に応じた職務要約の書き方
転職理由によって職務要約の強調ポイントは変わってきます。
キャリアアップ、業界転換、ブランクからの復帰など、状況に応じた効果的な職務要約の書き方を紹介します。
転職理由を踏まえた説得力のある要約が採用担当者の共感を呼びます。
キャリアアップ目的の転職における職務要約例
「小売業界で店舗運営に7年間従事し、単店舗の店長から5店舗のエリアマネージャーへとキャリアを発展。年商3億円の店舗の黒字化を実現し、CS調査で地域No.1を達成。人材育成に強みを持ち、指導した部下から店長が5名輩出。より大規模な組織でのマネジメント経験を積むべく、次のステップを目指しています。」
この例では、現在の実績を示しつつも、より大きな組織でのチャレンジを求めていることが伝わります。
キャリアアップ志向が明確で、実績の裏付けもある職務要約になっています。
業界転換を目指す場合の職務要約例
「金融業界で5年間のプロジェクトマネジメント経験を持ち、組織横断的なシステム導入プロジェクトを3件成功に導いた実績。予算管理、スケジュール調整、ステークホルダーとの折衝など一連のプロジェクト管理スキルを習得。培ったプロジェクト推進力と分析力を活かし、IT業界でのキャリア構築を目指しています。金融知識とITスキルを組み合わせた視点で貢献可能です。」
この例では、異なる業界でも通用するスキルセットを強調し、新しい業界でも活躍できる理由を明確に示しています。
業界は変わっても、基本的なスキルは転用可能であることをアピールする書き方です。
職務要約作成時によくある失敗と対策
効果的な職務要約を作成するには、よくある失敗パターンを理解し、それを避けることが重要です。
ここでは、多くの求職者が陥りがちな職務要約作成の失敗例と、それを克服するための具体的な対策を紹介します。
これらのポイントを押さえることで、採用担当者に好印象を与える職務要約を作成できるでしょう。
長すぎる職務要約を避ける方法
職務要約で最も多い失敗の一つが、文章が長くなりすぎることです。
詳細すぎる職務要約は読みづらく、採用担当者の興味を失わせてしまいます。
簡潔さと情報量のバランスを取ることが重要です。
職務要約の理想的な長さは200〜300字程度です。
それ以上になると読み手の負担が増し、重要なポイントが埋もれてしまう可能性があります。
長くなりがちな職務要約を短縮するためのテクニックとしては、以下の方法が効果的です。
まず、重複する内容や表現を削除します。
例えば「営業として売上向上に貢献し、売上目標を達成しました」という表現は「営業として売上目標を達成」と簡潔にできます。
次に、応募職種に直接関係ない経験は思い切って省略しましょう。職務要約はすべての経験を網羅する場所ではなく、ハイライトを示す場所です。
また、修飾語を減らし、具体的な数字や成果に焦点を絞ることも効果的です。
「非常に優れた成果を上げ、大幅な業績向上に貢献した」よりも「売上30%向上に貢献」のように具体的かつ簡潔に表現しましょう。
専門用語や業界特有の言葉の使い方
職務要約では業界特有の専門用語や略語の使用に注意が必要です。
適切に使えば専門性をアピールできますが、使いすぎると読みにくくなったり、誤解を招いたりするリスクがあります。
専門用語のバランスが重要です。
応募企業が同業界の場合は、業界用語を適切に使うことで専門性をアピールできます。
例えばIT業界であれば「Java/Spring Frameworkによるマイクロサービスアーキテクチャの設計・実装」のように、業界で一般的に理解される専門用語を用いることで簡潔に専門性を伝えられます。
一方、異業種への転職や、人事担当者が必ずしも技術に詳しいわけではない場合は注意が必要です。
専門用語を使う場合は、その意味が理解されるよう配慮しましょう。
例えば「ROI改善のためのPDCAサイクル構築」より「投資対効果(ROI)改善のための計画・実行・評価・改善サイクルを構築」のように、略語の意味を補足する方法があります。
また、自社独自の用語や社内でしか通用しない略語は避け、一般的な業界用語を使用することも重要です。
「SS評価を3年連続獲得」よりも「最高評価を3年連続獲得」の方が伝わりやすいでしょう。
職務要約のブラッシュアップ方法
職務要約は一度書いて終わりではなく、何度も見直しブラッシュアップすることで完成度が高まります。
効果的な職務要約に仕上げるための改善プロセスについて解説します。
計画的な推敲が、採用担当者の心に残る職務要約を作る鍵です。
まず、職務要約を書いたら一度時間を置いてから読み返すことが重要です。
書いた直後は客観性が失われがちですが、時間を置くことで新鮮な視点で見直せます。
その際、「この文章を読んで、自分のキャリアの強みが伝わるか」「応募職種との関連性が明確か」という観点から見直してみましょう。
また、可能であれば同業種の友人や、できれば採用経験のある人に読んでもらい、フィードバックをもらうことも効果的です。
第三者の視点は自分では気づかない改善点を発見するのに役立ちます。
さらに、応募する企業や職種が変わる場合は、その都度職務要約を調整することが重要です。
求人内容をよく読み、その企業が求める経験やスキルに合わせて強調点を変えましょう。
一つの職務要約をすべての応募先に使い回すのではなく、カスタマイズすることで採用可能性が高まります。
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まとめ
職務経歴書における職務要約・職務概要は、あなたのキャリアを簡潔かつ効果的に伝えるための重要な要素です。
採用担当者が最初に目を通す部分であり、あなたの応募書類が選考を通過するかどうかを左右する可能性があります。
本記事を通じて、職務要約の役割と基本的な書き方について理解いただけたと思います。
効果的な職務要約を作成するためには、自己PRとの違いを理解し、具体的な数字やデータを活用することが重要です。
また、経験年数や職種、転職理由に応じた書き方を工夫し、長すぎる文章や過度な専門用語の使用を避けるよう心がけましょう。
職務要約は一度書いたら終わりではなく、何度も見直し改善することで完成度が高まります。
転職市場は競争が激しく、採用担当者は限られた時間の中で多くの応募書類に目を通します。
そのような環境で、あなたの強みや実績を効果的にアピールするためには、戦略的な職務要約が不可欠です。
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