「自分の年収は平均と比べてどうなんだろう?」「転職したら収入はアップするのか?」このような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
日本の平均年収は業種や年齢、性別によって大きく異なります。
この記事では、最新の統計データをもとに、日本人の平均年収を様々な角度から分析します。
業種別・年齢別・男女別の年収データを徹底解説し、転職による年収アップの現実的な可能性についても検証していきます。
自分の市場価値を知り、キャリアプランを立てる上での参考情報として、ぜひこの記事をご活用ください。
年収の全国平均と基本傾向
日本の平均年収について知ることは、自分の収入を客観的に評価する上で重要な指標となります。
全体的な傾向を把握することで、転職や昇給交渉の際の参考にもなるでしょう。
ここでは、日本全体の平均年収の推移や、年収を構成する要素、地域による差異について解説します。
日本の平均年収の推移と現状
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、2022年の日本の平均年収は約443万円となっています。
この数字は過去10年間で緩やかな上昇傾向にありますが、物価上昇を考慮すると実質的な購買力はほぼ横ばいと言えるでしょう。
バブル期には平均年収が500万円を超えていた時期もありましたが、その後の景気低迷や雇用形態の多様化により、全体的な平均値は下がっています。
特に注目すべきは、正社員と非正規雇用の年収格差が拡大していることです。
正社員の平均年収が約503万円であるのに対し、非正規雇用者(パート・アルバイト・契約社員など)の平均は約175万円と、大きな開きがあります。
このような雇用形態による格差は、日本の労働市場の特徴的な問題となっています。
年収を構成する要素
年収は単純に月給×12ヶ月ではなく、様々な要素から構成されています。
一般的な年収の構成要素としては、基本給、各種手当、賞与(ボーナス)が挙げられます。
基本給は職種や職位、経験年数などによって決まる固定給で、年収の中核を成しています。
これに対して、
- 残業手当
- 住宅手当
- 家族手当
- 通勤手当
などの各種手当は企業によって支給内容が大きく異なります。
賞与(ボーナス)は多くの日本企業で年2回(夏と冬)支給されるのが一般的ですが、支給額は業績連動型の企業が増えてきており、固定的ではなくなってきています。
年収の実態を正確に把握するためには、これらの構成要素のバランスを理解することが重要です。
都道府県別の平均年収の差
日本の平均年収には地域による大きな格差が存在します。
東京都の平均年収が最も高く約530万円であるのに対し、最も低い沖縄県では約350万円と、約180万円もの差があります。
東京、神奈川、大阪、愛知などの大都市圏は全国平均を上回る傾向にあり、これは高収入の職種が集中していることや、物価の高さを反映した給与水準の違いによるものです。
地方では一般的に平均年収が低くなりますが、その分生活コストも抑えられる場合が多いため、実質的な生活水準の差はデータほど大きくないこともあります。
また、同じ職種でも地域によって年収に差があるのが現実です。
例えば、IT技術者の場合、東京では年収600万円以上が珍しくないのに対し、地方では400〜500万円程度の場合が多くなっています。
平均年収 | 全国平均との差 | |
東京都 | 約530万円 | +87万円 |
神奈川県 | 約490万円 | +47万円 |
愛知県 | 約470万円 | +27万円 |
全国平均 | 約443万円 | 0円 |
沖縄県 | 約350万円 | -93万円 |
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業種・職種別の平均年収比較
日本の労働市場において、業種や職種によって年収に大きな差があることは広く知られています。
特定の業界では慢性的な人材不足から高給与が提示されることもあれば、人気のある業種では競争が激しく給与水準が抑えられることもあります。
ここでは、業種別の年収ランキングや職種による格差、転職によるキャリアアップの可能性について詳しく見ていきましょう。
高収入の業界ランキング
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、最も平均年収が高い業界は金融・保険業で、平均年収は約670万円となっています。
次いで、電気・ガス・熱供給・水道業(約650万円)、情報通信業(約600万円)と続きます。
金融業界、特に大手銀行や証券会社、外資系金融機関では、業績連動型の賞与が大きく、年収1000万円を超えるハイクラス人材も少なくありません。
電力・ガスなどのインフラ系企業は安定した経営基盤を背景に、高い給与水準を維持しています。
一方、年収が低い業界としては、宿泊業・飲食サービス業(約320万円)、生活関連サービス業(約350万円)などが挙げられます。
これらの業界は労働集約型で参入障壁が低いため、競争が激しく利益率が低い傾向にあります。
業界 | 平均年収 | |
1位 | 金融・保険業 | 約670万円 |
2位 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 約650万円 |
3位 | 情報通信業 | 約600万円 |
4位 | 学術研究・専門技術サービス | 約580万円 |
5位 | 製造業 | 約530万円 |
職種による年収格差
同じ業界内でも、職種によって年収に大きな差が生じています。
特に専門性の高い職種や経営に近い職種ほど、高い報酬が得られる傾向にあります。
IT業界では、プログラマーよりもITアーキテクトやプロジェクトマネージャーの方が高収入である場合が多く、経験を積むにつれて年収が大きく上昇します。
医療分野では医師が平均1000万円以上と高収入ですが、看護師は400〜500万円程度と大きな差があります。
また、営業職は成果報酬型の給与体系を採用している企業が多く、トップセールスマンは年収1000万円を超えることもありますが、平均的な営業職の年収は400〜500万円程度です。
年収アップを目指すなら、同じ業界内でも成長性の高い職種や、管理職・専門職へのキャリアパスを考えることが重要となります。
業種別転職で狙える年収アップ
転職によって年収アップを実現するためには、成長産業や人材需要の高い業界を狙うことが効果的です。
近年、特に需要が高まっている業界としては、AI・IoT関連のIT業界、高齢化社会を背景とした医療・介護業界などが挙げられます。
IT業界では特に、クラウドエンジニア、データサイエンティスト、セキュリティスペシャリストなどの専門職は深刻な人材不足状態で、経験者であれば年収100万円以上のアップも十分に可能です。
医療業界では薬剤師や専門看護師などの資格保有者は転職市場での評価が高く、条件の良い職場への転職で年収アップを狙えます。
また、金融業界からコンサルティング業界へ、または製造業からIT業界へなど、異業種への転職によって大幅な年収アップを実現するケースも増えています。
ただし、異業種転職の場合は、転用可能なスキルや経験を持っていることが前提となるため、事前の情報収集や場合によっては追加のスキル習得が必要です。
年齢・性別・学歴別の平均年収データ
日本の給与体系は、年功序列の要素が依然として強く残っており、年齢によって年収が大きく変化します。
また、性別や学歴によっても収入格差が存在することは、様々な統計データから明らかになっています。
ここでは、年齢、性別、学歴という3つの切り口から日本の平均年収の実態を分析し、自身のキャリアプランを考える際の参考にしていただきます。
年齢別の収入カーブ
日本の平均的な収入カーブは、年齢とともに上昇し、50代でピークを迎えた後、下降するという特徴があります。
国税庁の統計によると、20代前半の平均年収が約300万円であるのに対し、50代前半では約550万円と、ほぼ2倍近い差があります。
20代から30代にかけては比較的緩やかな上昇カーブを描き、30代後半から40代にかけて急激に上昇するのが一般的なパターンです。
これは管理職への昇進や専門性の向上によるものと考えられます。
しかし、近年では年功序列型の賃金体系から成果主義への移行が進み、若くても高い成果を出せば早期に高収入を得られる環境も増えています。
特にIT業界やベンチャー企業では、30代前半で年収700万円を超えるケースも珍しくなくなっています。
年齢層 | 平均年収 | |
1 | 20-24歳 | 約300万円 |
2 | 25-29歳 | 約370万円 |
3 | 30-34歳 | 約420万円 |
4 | 35-39歳 | 約460万円 |
5 | 40-44歳 | 約500万円 |
6 | 45-49歳 | 約530万円 |
7 | 50-54歳 | 約550万円 |
8 | 55-59歳 | 約530万円 |
9 | 60-64歳 | 約400万円 |
男女間の年収格差の実態
男女間の賃金格差は、日本社会における重要な課題の一つです。
厚生労働省の調査によると、女性の平均年収は男性の約7割程度にとどまっています。
男性の平均年収が約530万円であるのに対し、女性は約370万円と、約160万円もの差があります。
この格差の主な要因としては、女性の非正規雇用率の高さ、管理職比率の低さ、出産・育児によるキャリア中断などが挙げられます。
しかし、同一の職種・職位・勤続年数で比較した場合、格差は徐々に縮小している傾向にあります。
特に大企業や外資系企業では男女間の賃金差別が是正され、能力や成果に基づく公平な評価システムの導入が進んでいます。
女性の年収アップを考える上では、キャリアの連続性を保つための育児支援制度の充実した企業を選ぶことや、管理職へのキャリアパスを意識したキャリア形成が重要となります。
近年は女性活躍推進法の施行もあり、女性の管理職比率を高める取り組みが多くの企業で行われています。
学歴別の平均年収と生涯賃金
日本では依然として学歴が年収に与える影響は大きく、高学歴ほど平均年収が高い傾向にあります。
大卒の平均年収が約500万円であるのに対し、高卒は約370万円、大学院卒は約600万円と、学歴による差は明確です。
特に入社時の初任給に差がつくだけでなく、昇進スピードにも影響するため、生涯賃金で見るとその差はさらに拡大します。
生涯賃金の差は、大卒と高卒で約5000万円、大学院卒と大卒で約2000万円とも言われています。
ただし、近年では学歴よりも実務能力や専門性が重視される傾向も強まっており、特にIT業界や創造性が求められる職種では、学歴に関わらず実力次第で高収入を得られるケースも増えています。
また、高卒でも技術職や熟練工として専門性を高めれば、大卒以上の年収を得ることも十分に可能です。
学歴 | 平均年収 | 生涯賃金(概算) | |
1 | 高卒 | 約370万円 | 約2億円 |
2 | 専門学校卒 | 約400万円 | 約2億1000万円 |
3 | 大卒 | 約500万円 | 約2億5000万円 |
4 | 大学院卒 | 約600万円 | 約2億7000万円 |
転職による年収アップの実態と戦略
「転職すれば年収アップできる」という言葉をよく耳にしますが、実際のところはどうなのでしょうか。
転職による年収変動は、業界の状況や個人のスキル、転職の方法によって大きく異なります。
ここでは、転職で年収アップする確率や効果的な年収交渉のポイント、実際に成功した事例について解説します。
転職で年収アップする確率
リクルートワークス研究所の調査によると、転職者の約45%が前職よりも年収がアップしており、約30%が横ばい、約25%が減少という結果が出ています。
つまり、転職によって年収がアップするのは全体の半数弱にとどまるのが現実です。
年収アップしやすいのは、人材不足が顕著な業界への転職や、専門性の高いスキルを持った人材の転職です。
特にIT・通信業界、医療・介護業界、金融業界などは人材確保のために好条件を提示するケースが多くなっています。
一方、年収ダウンのリスクが高いのは、40代以降の管理職からの転職や、業績不振の業界からの転職です。
年功序列型の給与体系の会社に長く勤めていた人が、成果主義の会社に転職すると年収が下がるケースもよく見られます。
効果的な年収交渉のポイント
転職による年収アップを実現するためには、採用企業との適切な年収交渉が欠かせません。
交渉を有利に進めるためのポイントをいくつか紹介します。
まず、自分の市場価値を正確に把握することが重要です。
同業種・同職種の平均年収データや、転職サイトの求人情報などから、自分のスキルセットに対する適正な年収レンジを調査しておきましょう。
次に、前職での具体的な成果や実績を数字で示せるようにしておくことです。
「売上を前年比120%に増加させた」「コスト削減で年間1000万円の経費削減を実現した」など、具体的な数字は交渉力を高めます。
また、複数の企業と並行して選考を進めることで、比較検討の余地を作ることも効果的です。
「他社からはこのくらいの条件をいただいています」と伝えることで、条件アップの可能性が高まります。
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まとめ
日本の平均年収は約443万円ですが、業種・職種・年齢・性別・学歴などの要素によって大きく異なることがわかりました。
金融・保険業や情報通信業などの業界は高収入である一方、サービス業や小売業は相対的に低い傾向にあります。
年齢別では50代前半でピークを迎え、男女間には依然として約160万円の格差が存在します。
転職による年収アップは全体の約45%と半数以下ですが、人材不足の業界や専門性の高いスキルを持っている場合には成功確率が高まります。
年収アップを実現するためには、自分の市場価値を正確に把握し、具体的な成果や実績を数字で示せるようにしておくことが重要です。
また、業界動向や求人市場の特性を理解した上で、計画的なキャリア形成やスキルアップに取り組むことが長期的な年収アップにつながります。
この記事で紹介した平均年収データや転職戦略を参考に、ご自身のキャリアプランや転職活動に役立てていただければ幸いです。