「中退は履歴書に書くべきなのか」「書いたら不利になるのではないか」と不安に感じて、このページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
中退という経歴は、書き方や伝え方を誤るとマイナス評価につながる一方で、正しく整理すれば大きな問題にならないケースも少なくありません。
この記事では、中退を履歴書にどう書くのが正解か、不利にならない伝え方、使える例文、面接対策までを実務ベースで分かりやすく解説します。
中退は履歴書に書くべきか
中退した経歴を履歴書に書くべきかどうかは、多くの人が最初に悩むポイントです。
「書かない方が有利なのでは」と考えてしまいがちですが、結論から言えば 原則として中退は履歴書に書くべき です。
その理由と、例外的に書かなくてもよいケースを整理して解説します。
原則は「書く」が正解になる理由
中退を履歴書に書くべき最大の理由は、経歴詐称のリスクを避けるため です。
学歴は企業が必ず確認する項目ですので、意図的に省略すると、あとから発覚した場合に信用を大きく損なってしまいます。
特に次のようなケースでは、ほぼ確実に確認されます。
- 卒業証明書や在学証明書の提出を求められる場合
- 入社前の学歴調査
- 公的機関や大手企業への応募
仮に内定後に中退が発覚した場合、「経歴詐称」と判断され、内定取り消しになる可能性も否定できません。
不利になることを恐れて隠すよりも、最初から正しく書いた方が長期的には安全です。
書かなくてよい例外ケース
すべての中退が必ず記載対象になるわけではありません。
次のようなケースでは、履歴書に書かなくても問題になりにくい場合があります。
- 入学から極めて短期間で退学している
- 正式な履歴として扱えないレベルの在籍期間
- 学歴として評価の対象にならないケース
例えば、入学直後に体調不良などで退学しており、実質的な履修実績がほとんどない場合などが該当します。
ただし、この判断はケースバイケースのため、「書かない」と決める前に慎重な判断が必要です。
結論として覚えておきたいポイント
- 中退は 原則として履歴書に書くのが安全
- 隠すと経歴詐称と判断されるリスクがある
- 書かなくてよいケースはごく一部に限られる
中退があるからといって、それだけで不採用になるとは限りません。
大切なのは「なぜ中退し、その後どう行動してきたか」です。
中退の正しい履歴書の書き方
中退を履歴書に書くときは、「事実を正しく、簡潔に」が最も重要なポイントです。
余計な感情や長い説明を入れる必要はなく、基本ルールさえ押さえれば、過度に不利になることはありません。
ここでは、学歴欄の正式な書き方と、中退理由の扱い方を整理して解説します。
学歴欄の基本ルール
履歴書の学歴欄には、「入学」と「中途退学」をセットで書くのが基本です。
省略や言い換えはせず、正式な表記を使うことで、書類全体の信頼性が保たれます。
【基本の書き方の例】
20XX年4月 〇〇大学 〇〇学部 入学
20XX年9月 〇〇大学 〇〇学部 中途退学
このように、
- 学校名
- 学部や学科
- 入学と中途退学の年月
を正確に書くことが重要です。
「中退」とだけ書くよりも、「中途退学」と正式に書く方が、ビジネス文書としても適切です。
また、高校卒業後すぐに進学している場合は、「高校卒業 → 大学入学 → 中途退学」という流れが自然につながるように記載します。
中退理由はどこまで書くべきか
履歴書の学歴欄には、中退理由は基本的に詳しく書かなくて問題ありません。
多くの場合は、「中途退学」と事実だけを記載すれば十分です。
どうしても一言補足したい場合でも、次のような簡潔な表現にとどめるのがおすすめです。
- 経済的事情により中途退学
- 家庭の事情により中途退学
- 体調不良により中途退学
一方で、次のような内容は履歴書には不向きです。
- 人間関係のトラブル
- 学業がつらかった
- やる気がなくなった
これらは正直な気持ちであっても、書類選考の段階でマイナスに受け取られる可能性があります。
詳しい背景や考え方は、面接で口頭で説明するのが基本です。
履歴書では簡潔に、説明は面接で
中退に関する説明は、
- 履歴書:事実を簡潔に
- 面接:理由とその後の行動を説明
この役割分担を意識すると、書類全体のバランスがよくなります。
履歴書の段階で無理に評価を挽回しようとせず、「なぜ中退したのか」「そこから何を学び、今どうしているのか」は、面接で前向きに伝えることが大切です。
履歴書の書き方に関する記事はこちら
中退理由の例文
中退理由は、内容そのものよりも「伝え方」で評価が大きく変わります。
履歴書では簡潔に、面接では前向きな学びと今後の姿勢まで含めて伝えるのが基本です。
ここでは、よくある中退理由ごとに「NG例」「OK例」「面接用の言い換え」をセットで紹介します。
経済的理由の場合
まずは、経済的理由の場合です。
【NG例】
学費が払えなくなったため中退しました。
【OK例】
経済的事情により中途退学。
【面接用の言い換え】
家計状況の変化により進学の継続が難しくなりましたが、その後は早期に就労し、自立するために行動してきました。
今は安定して働ける基盤が整っており、長く続けられる環境で力を発揮したいと考えています。
体調不良・家庭の事情の場合
【NG例】
体調を崩して学校に行けなくなりました。
【OK例】
体調不良のため中途退学。
家庭の事情により中途退学。
【面接用の言い換え】
当時は継続が難しい状況でしたが、現在は医師の判断も含め、業務に支障はありません。
健康管理を徹底し、安定して働ける状態を維持しています。
やりたい進路が変わった場合
【NG例】
なんとなく違うと感じて辞めました。
【OK例】
進路変更のため中途退学。
【面接用の言い換え】
学業を続ける中で、自分が目指したい方向と異なると感じ、将来を考えて進路変更を決断しました。
現在は目標が明確になり、その実現に向けて必要な経験を積んでいます。
不適合・ミスマッチによる中退の場合
【NG例】
学校の雰囲気が合わなかったため中退しました。
【OK例】
将来を再検討するため中途退学。
【面接用の言い換え】
入学後に実際の内容とのギャップを感じ、自分の適性をあらためて見直す必要があると判断しました。
その経験を通じて、自分に合う環境や働き方を考えるようになりました。
中退は就職で不利になるのか
中退と聞くと、「やはり不利になるのでは」と不安に感じる方は少なくありません。
たしかに見られるポイントはありますが、中退した事実だけで一律に不採用になるわけではありません。
ここでは、企業側のリアルな見方と、不利になる人の共通点を整理します。
企業が中退を見るリアルな視点
企業が中退を見るときに重視しているのは、「中退した事実」そのものではありません。
それよりも次のような点がチェックされています。
- なぜ中退に至ったのか
- 同じ理由で仕事もすぐ辞めてしまわないか
- 現在は安定して働ける状態か
つまり、「継続力」と「再発リスク」が中心です。
中退の理由が明確で、現在は安定して働ける状況にあると判断されれば、必要以上にマイナス評価されることはありません。
中退が不利になりやすい人の共通点
一方で、次のような傾向があると、不利になりやすいのも事実です。
- 中退理由が曖昧で説明できない
- 不満や他責の発言が多い
- 中退後の行動に一貫性がない
- 現在も空白期間が続いている
これらに共通するのは、「今後も同じことを繰り返しそう」という印象を持たれてしまう点です。
中退よりも、その後の姿勢の方がはるかに重要視されます。
逆に評価される中退のパターン
中退があっても、次のような場合はプラスに転じることもあります。
- 中退後すぐに働き始めている
- 資格取得やスキル習得に取り組んでいる
- 進路を明確に切り替えて行動している
このように、「行動で挽回している人」は、企業からも前向きに評価されやすいです。
中退はマイナス要素になり得ますが、固定されたレッテルではない という点は覚えておきましょう。
中退の面接対策
中退がある場合、面接でほぼ確実に理由や考え方について質問されます。
ここでの受け答え次第で、評価が大きく変わるのが正直なところです。
あらかじめ聞かれやすい質問と、評価につながる伝え方を整理しておきましょう。
よく聞かれる質問
中退について、面接では主に次のような質問がされます。
- なぜ中退したのですか。
- 困難なことがあると、また辞めてしまいませんか。
- 中退後はどのように過ごしていましたか。
これらの質問は、過去を責めるためではなく、仕事に継続して取り組めるかどうか を見極める目的で聞かれています。
そのため、感情的にならず、落ち着いて説明することが重要です。
面接での正しい伝え方の型
中退理由を説明するときは、次の流れを意識すると、評価されやすくなります。
- 中退に至った原因
- その経験から得た学び
- 現在の考え方や行動
- 今後どう活かすか
例えば、「当時は環境に適応できず中退しましたが、その経験から自分の適性を見直し、現在は○○の業務に前向きに取り組んでいます。今後は同じ理由で投げ出さないよう、長く働ける環境で力を発揮したいと考えています。」
というように、「過去 → 今 → 未来」を一つのストーリーで伝えることが大切です。
絶対に避けたい伝え方
中退の説明で、次のような伝え方は評価を下げやすくなります。
- 学校や周囲のせいにする。
- 当時の不満だけを強調する。
- 今後の働き方につながる話がない。
面接官は「過去」よりも、「これからどう働くのか」に注目しています。
中退をどう乗り越え、今どんな姿勢で仕事に向き合っているのかを意識して伝えましょう。
中退後に正社員就職する現実的ルート
中退後の進路として、「正社員はもう難しいのでは」と不安に感じる方も多いかもしれません。
しかし実際には、中退から正社員として安定就業している人は数多くいます。
ここでは、再スタートを切るための現実的なルートを整理して紹介します。
フリーターや派遣から正社員を目指すルート
中退後、まずはアルバイトや派遣から社会経験を積み、そこから正社員を目指すのは王道のルートです。
特に、次のような働き方は評価につながりやすいです。
- 同じ職場で半年以上継続して働いている。
- 接客、製造、事務など基礎的な業務を安定してこなしている。
- 遅刻や欠勤が少なく、勤務態度が良好。
このような実績があれば、「継続力がある」「最低限のビジネスマナーが身についている」と判断され、正社員として採用される可能性は十分にあります。
中退そのものよりも、「その後きちんと働いているか」が重視されます。
未経験OKの職種を狙うのが現実的
中退後の正社員就職では、未経験からでも挑戦しやすい職種を狙うのが現実的です。
例えば、次のような職種があります。
- 営業職
- 事務職
- 製造・倉庫・軽作業
- ITサポートやヘルプデスク
- 建設現場の施工管理補助や作業スタッフ
これらの職種は、学歴よりも「人柄」「意欲」「継続力」が重視される傾向が強いのが特徴です。
特に建設業界では、人手不足を背景に、未経験からの採用も比較的多くなっています。
空白期間は「どう過ごしたか」で評価が決まる
中退後に空白期間がある場合、その期間の説明は必ず求められます。
このとき、「何をしていなかったか」ではなく、「何をしていたか」に言い換えて説明することが重要です。
例えば、
- アルバイトで生活費を稼いでいた。
- 資格取得の勉強をしていた。
- 家庭の事情に向き合っていた。
このように、たとえ小さなことでも「主体的に行動していた事実」があれば、評価は大きく下がりません。
空白期間はマイナスではなく、説明の仕方次第で「準備期間」として伝えることができます。
面接のやり方に関する記事はこちら
中退と履歴書・就職に関するよくある質問
中退と履歴書、就職に関しては、多くの方が同じような疑問を抱えています。
ここでは特に質問が多いテーマについて、簡潔にお答えします。
- 中退は最終学歴になりますか?
-
中退した場合、最終学歴は「卒業した学校」が基準になります。例えば大学を中退していれば、最終学歴は「高校卒業」です。大学卒業扱いにはなりません。
- 中退は職歴に入りますか?
-
中退は学歴に該当し、職歴には入りません。履歴書では「学歴欄」に記載し、「職歴欄」とは分けて書きます。在学中のアルバイトは、基本的に職歴には含めません。
- 中退でも大手企業への応募はできますか?
-
応募自体は可能です。ただし大手企業は学歴フィルターがある場合も多く、書類選考の難易度は高くなる傾向があります。まずは中小企業や未経験歓迎の求人から実績を積むのが現実的なルートです。
- 中退後にブランクが長いと、やはり不利になりますか?
-
ブランクが長いからといって、それだけで不採用になるわけではありません。重要なのは、その期間をどう過ごしていたかを説明できるかどうかです。アルバイト、資格勉強、家族の事情など、時間の使い方を前向きに伝えられれば大きなマイナスにはなりません。
- 中退を複数回している場合でも就職は可能ですか?
-
可能です。ただし回数が多い場合は、「なぜ繰り返したのか」「今後は続けられるのか」をより慎重に見られます。過去の経緯を整理し、現在は環境や考え方が変わっていることを具体的に説明できれば、十分にチャンスはあります。
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まとめ
中退は履歴書に書き方を誤ると、不利に働いてしまう可能性があります。
しかし、正しく記載し、面接で前向きな姿勢を伝えられれば、大きなハンデになるとは限りません。
重要なのは、「なぜ中退したのか」「その後どのように行動してきたのか」、そして「これからどう働いていきたいのか」を一貫したストーリーで伝えることです。
中退という過去にとらわれすぎず、今とこれからの姿勢で評価を積み上げていきましょう。



