退職後の手続きや失業給付の申請に必要な「離職票」。会社を辞めるとき、いつ、どのように受け取るのか、疑問に思われる方は多いのではないでしょうか。離職票は単なる退職証明書ではなく、その後の手続きや給付金にも関わる重要な書類です。
本記事では、離職票の基本的な内容から受け取り方、使い方、さらにトラブル時の対処法まで、最新の情報をもとに詳しく解説します。退職を控えている方や、すでに退職手続きを進めている方に、スムーズな次のステップへの道筋をご案内します。
離職票の基本的な役割と種類
離職票は、会社を退職した際にもらえる公的な証明書です。
この書類は単なる退職の証明だけでなく、失業給付を受け取るために必要な重要書類となります。
正確な情報が記載されているかどうかが、あなたの今後の生活に大きく影響するため、内容をしっかり確認することが大切です。
離職票の基本的な役割
離職票とは、労働者が会社を退職した際に、会社が作成して交付する公的な証明書類です。
この書類は厚生労働省が定めた公的書類で、退職時の状況や条件を証明するものです。
主に雇用保険(失業保険)の手続きに必要となり、退職理由や在職期間、賃金などが記載されています。
離職票の最も重要な役割は、ハローワークで失業給付(基本手当)を受給する際の基礎資料となることです。
離職票に記載された内容をもとに、あなたが受け取れる失業給付の金額や給付日数が決定されます。
2024年度の最新ルールでは、特定受給資格者(会社都合退職)と一般受給資格者(自己都合退職)で給付日数に大きな差があるため、記載内容の確認は特に重要です。
離職票の種類と内容
離職票には「被保険者資格喪失届(離職票-1)」と「被保険者離職証明書(離職票-2)」の2種類があります。
どちらも同時に発行され、失業給付を受け取るために必要な書類です。
それぞれに記載される情報は異なり、どちらも手続きに必須となります。
離職票-1 | 離職票-2 | |
---|---|---|
主な記載内容 | ・氏名、住所、生年月日 ・雇用保険被保険者番号 ・事業所情報 ・雇用期間 ・離職理由 | ・賃金支払い状況 ・離職前6ヶ月の賃金明細 ・離職理由の詳細 ・特定理由離職者に該当するか |
役割 | 雇用保険の資格を証明 | 失業給付の計算に使用 |
特に重要なのは「離職票-2」の内容です。ここには離職前6ヶ月間の賃金支払い状況が記載され、この金額を基に失業給付の日額が計算されます。
また離職理由の詳細も記載されており、「特定受給資格者」または「特定理由離職者」に該当するかどうかの判断材料となります。
被保険者資格喪失届(離職票-1)に関するページはこちら
雇用保険被保険者離職票の発行条件
離職票は、雇用保険に加入していた労働者が離職した場合に発行されます。
具体的には、週20時間以上働き、31日以上の雇用見込みがあった方が対象となります。
近年は、労働条件による適用除外はほぼなくなり、より多くの方が対象となっています。
なお、以下の場合には離職票が発行されないことがあります。
- 雇用保険に未加入だった(アルバイトやパートでも条件を満たせば加入必須)
- 雇用保険の被保険者期間が12ヶ月未満で自己都合退職した場合(給付制限はあるが離職票自体は発行される)
- 65歳以上で新たに雇用された方が退職した場合(高年齢被保険者は別制度)
離職票の発行は、雇用保険の適用事業所の義務であり、離職者から依頼がなくても発行する必要があります。
離職票が発行されるまでには通常2〜3週間程度かかるケースが多いようです。
離職票のもらい方と発行の流れ
離職票は自動的に発行されるものではなく、会社が手続きを行う必要があります。
実際にどのような流れで発行され、いつどのように受け取れるのか、また発行に必要な書類は何かを理解しておくことが大切です。
特に退職が決まっている方は、スムーズな手続きのためにこの流れを把握しておきましょう。
離職票発行の流れ
離職票の発行プロセスは以下のような流れで進みます。
退職が決まったら、会社と連携して手続きを進めることが重要です。
現在の実務では、ほとんどの手続きは会社側が行いますが、確認すべきポイントがいくつかあります。
- 退職の意思表示または会社からの解雇通知
- 会社が雇用保険被保険者資格喪失届を作成
- 会社がハローワークに資格喪失届を提出(退職日の翌日から10日以内)
- ハローワークで処理・確認後、離職票が発行される
- 会社が離職票を受け取り、退職者に交付
会社が離職票の発行手続きを行う際には、賃金台帳の過去6ヶ月分の提出や、離職理由の確認などが必要となります。
このため、手続き完了までに通常2〜3週間かかるとされています。
また、退職理由によっては追加書類が必要になるケースもあります。
会社への依頼方法と必要書類
離職票の発行は会社の義務ですが、スムーズに受け取るためには事前に連絡しておくことをおすすめします。
特に退職日が決まっている場合は、1ヶ月前程度に人事部や総務部に離職票の発行について確認しておくと安心です。
自己都合退職の場合は、退職届を提出する際に離職票の発行について一言添えておくとよいでしょう。
会社側が離職票を発行するために必要な書類は以下の通りです。
- 雇用保険被保険者資格喪失届
- 雇用保険被保険者離職証明書
- 賃金台帳(退職前6ヶ月分)
- 出勤簿(退職前6ヶ月分)
- 離職理由を証明する書類(会社都合の場合)
これらの書類はすべて会社側で準備するもので、あなた自身が用意する必要はありません。
ただし、離職理由については後のトラブルを避けるため、自分の認識と会社側の認識に相違がないか確認しておくことが重要です。
離職理由の記載について事前に合意しておくことで、後々のトラブルを回避できるとされています。
退職届に関する記事はこちら
離職票の受け取り方と発行までの期間
離職票の受け取りは、基本的に会社から行われます。
以下のような3つの方法があります。
- 退職時に直接手渡し(発行が間に合う場合)
- 会社から郵送
- 退職後に会社に取りに行く
法律上は、会社は離職票を「遅滞なく」交付することが義務付けられており、目安としては退職後10日以内とされています。
しかし実務上は、通常2〜3週間程度かかることが多いようです。
特に大企業や離職者が多い時期は、手続きに時間がかかることがあります。
また、近年では、厚生労働省が進めるデジタル化により、電子申請の普及も進んでいます。
e-GOVを通じた電子申請で手続きが行われる場合は、処理が早くなる可能性もあります。
ただし、最終的には紙の離職票が発行されます。
離職票の電子申請に関するページはこちら
失業保険申請に必要な離職票の使い方
離職票を受け取ったら、次は失業給付(基本手当)の申請です。
書類を持っているだけでは給付金は支給されませんので、正しい手続きを理解しておく必要があります。
離職票の有効期限や必要書類など、申請の際に知っておくべきポイントを解説します。
失業給付を受けるための手続き
離職票を受け取ったら、住所地を管轄するハローワークで求職申込みと失業認定の手続きを行います。
この手続きは原則として本人が行う必要があります。
一部の手続きはオンライン化も進んでいますが、初回手続きは窓口での対応が原則です。
失業給付を受けるための基本的な手続きの流れは以下の通りです。
- 離職票を受け取る
- 住所地を管轄するハローワークに出向く
- 求職申込み(求職申込書の記入)
- 雇用保険の受給資格の決定
- 雇用保険受給説明会への参加
- 失業の認定(4週間に1回)
- 給付金の振込
初回の手続き時に必要な書類は以下の通りです。
- 離職票-1および離職票-2
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 証明写真(最近の写真2枚・縦3.0cm×横2.5cm)
- 銀行通帳またはキャッシュカード(本人名義)
なお、最新の手続きでは、マイナンバーカードの提示が原則となっています。これにより手続きがスムーズになるほか、一部の手続きではオンライン申請も可能になってきています。
離職票の有効期限と申請のタイミング
離職票自体に法律上の有効期限はありませんが、失業給付を受けるための申請には期限があります。
退職日の翌日から原則として1年以内に手続きを行わなければ、受給権が消滅してしまいます。
ただし、以下のように申請のタイミングによって給付開始日が変わることに注意が必要です。
自己都合退職 | 会社都合退職 | |
---|---|---|
給付制限期間 | 3ヶ月間 | 7日間 |
申請のベストタイミング | 退職後すぐ〜1ヶ月以内 | 退職後1週間以内 |
自己都合退職の場合は3ヶ月の給付制限がありますが、この期間も受給資格期間(1年間)に含まれます。
そのため、申請自体は退職後すぐに行うことが推奨されています。
また、特定理由(特定受給資格者・特定理由離職者)に該当する場合は、給付制限が短縮されるため、早めに手続きを行うことが重要です。
離職票の記載内容と受給金額の関係
離職票の記載内容は、あなたが受け取る失業給付の金額と給付日数に直接影響します。
特に重要なのは以下の項目です。
- 離職理由(自己都合か会社都合か)
- 被保険者であった期間(加入期間)
- 離職前6ヶ月の賃金支払状況
失業給付の基本手当日額は、離職前6ヶ月の賃金を180で割った金額の45〜80%(年齢により異なる)で計算されます。
2024年4月時点の厚生労働省の資料によれば、基本手当日額には上限があり、60〜64歳の場合で最大6,777円、30〜44歳の場合で最大6,668円となっています。
また、給付日数は、離職理由と被保険者であった期間により決定されます。
特定受給資格者(会社都合退職)の場合、最大330日の給付を受けられるのに対し、一般の離職者(自己都合退職)の場合は最大150日です。
なお、45歳以上や障害者など、特定の条件に該当する場合は給付日数が延長されることもあります。
離職票に関するトラブルとQ&A
離職票は重要な公的書類であるため、発行や記載内容に関するトラブルが発生することがあります。
会社から離職票がもらえない場合や、記載内容に納得できない場合の対処法、また紛失時の手続きなど、よくある問題と解決策を解説します。
困ったときの相談先も把握しておきましょう。
Q:離職票をもらえないのですが、どうすればいい?
会社から離職票がもらえない状況は、実際によく相談が寄せられるケースです。
以下のような対処法が有効とされています。
- まずは会社に電話や書面で催促する
- 離職票の発行義務について丁寧に説明する
- 催促しても発行されない場合は管轄のハローワークに相談する
- ハローワークから会社に対して指導が入ることがある
- それでも発行されない場合は労働基準監督署や労働局に相談する
離職票の発行は雇用保険法で定められた会社の義務です。
正当な理由なく発行を拒否することは法令違反となります。
ハローワークでは「雇用保険被保険者離職証明書交付請求書」という書類を用意しており、これを使って公的に離職票の発行を請求することもできます。
なお、会社が倒産してしまった場合は、管轄のハローワークに「雇用保険被保険者離職票交付申請書」を提出することで、直接ハローワークから離職票が発行されることがあります。
この場合、在職証明や賃金支払いの証明となる書類(給与明細、源泉徴収票など)を用意する必要があります。
Q:離職理由に納得できない場合、修正できますか?
離職票に記載された離職理由に納得できない場合、特に会社都合の退職なのに自己都合と記載されている場合は、異議申し立てができます。
対応する際は以下の手順を踏むことがおすすめです。
- まずは会社の人事部門に連絡し、事実関係と記載内容の訂正を求める
- 会社が対応しない場合は、ハローワークの雇用保険窓口に相談する
- 「雇用保険被保険者離職票記載事項に関する証明書」を提出する
- 必要な場合は証拠資料(メール、録音など)を用意する
- ハローワークでの調査の後、離職理由が変更される場合がある
特に注意すべきは、「特定受給資格者」または「特定理由離職者」の認定です。
これに該当すると、給付制限期間の短縮や給付日数の延長などのメリットがあります。
現在の制度では、雇止めや契約満了、会社の倒産、人員整理による解雇だけでなく、パワハラやセクハラなどが原因で退職した場合も特定受給資格者として認められる可能性があります。
離職理由の変更手続きは離職後も可能ですが、より円滑に進めるためには、退職前から証拠を集めておくことが重要です。
労働条件通知書や雇用契約書、パワハラなどを証明するメールや録音、医師の診断書なども有効な証拠となります。
Q:離職票をなくしました。再発行できますか?
離職票を紛失してしまった場合でも、再発行は可能です。
再発行の手続きは以下の通りです。
- 原則として、元の勤務先(事業所)に再発行を依頼する
- 会社は再度ハローワークに再発行手続きを行う
- 会社が倒産または連絡が取れない場合は、直接ハローワークに相談する
- 再発行には通常1〜2週間程度かかる
再発行を依頼する際は、「紛失した理由」「前回の発行日(わかれば)」「退職日」などを伝えると手続きがスムーズに進みます。
なお、マイナンバーカードを活用したオンライン手続きの拡充により、一部の地域では再発行手続きが簡略化されているケースもあります。
また、すでにハローワークで求職申込み手続きを済ませている場合は、ハローワークに保管されている情報を使用できる場合もあるため、まずはハローワークに相談するとよいでしょう。
ただし、初回の手続き前に紛失した場合は、元の会社に再発行を依頼する必要があります。
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まとめ
離職票は、退職後の生活を支える失業給付を受け取るために必要不可欠な書類です。
この記事では、離職票の基本的な役割から受け取り方、使い方、トラブル時の対処法まで解説しました。
離職票は単なる形式的な書類ではなく、記載内容によってあなたが受け取れる給付金の金額や期間が大きく変わります。
特に離職理由については、自己都合なのか会社都合なのかで大きな違いがあるため、内容をしっかり確認することが重要です。
会社からもらえない場合や内容に不服がある場合も、適切な手続きを行えば解決できることがほとんどです。
必要に応じてハローワークや専門家に相談し、自分の権利を守りましょう。
退職は新たなスタートの時でもあります。
離職票の手続きをスムーズに進め、次のステップに向けた準備をしっかり整えていただければ幸いです。